ある朝、鏡の前でブラシをかけていて円形にごっそり髪が抜けている部分に気づき、
「何かの病気なのか」「このまま髪が全部なくなってしまうのではないか」
「皮膚科に行くべきか、それとも自然に治るのを待つべきか」。
円形脱毛症は、こうした強い不安とともに発見されることが多い疾患です。
西宮市の皮膚科『櫻根皮フ科』では円形脱毛症の治療に力を入れています。
円形脱毛症は決して珍しい病気ではなく、正しい知識と早期の皮膚科受診によって、
症状の進行を抑え、発毛を目指すことができる疾患です。
円形脱毛症とは、頭皮の一部に円形または楕円形の脱毛斑(だつもうはん)が突然生じる、非瘢痕性(ひはんこんせい:跡が残らないタイプ)の
後天性脱毛疾患です。皮膚科を受診する脱毛症の中でも特に頻度の高い疾患のひとつとされています。
年齢や性別を問わず発症し、子どもから高齢者まで幅広い層でみられます。
国内の疫学データでは、人口のおよそ2%程度に円形脱毛症がみられると報告されており、決して稀な病気ではないことがわかります。
多くの方は「自分だけに起きた特別なこと」と思い込み、人知れず悩みを抱えがちですが、皮膚科では日常的に対応している疾患であり、
一人で抱え込む必要はありません。
近年の研究では、円形脱毛症は毛包(毛根を包む組織)に対して自己免疫が誤って攻撃を仕掛けてしまうことで
発症する「自己免疫疾患」の一種であると考えられています。
毛包そのものが破壊されるわけではないため、適切なタイミングで治療を開始すれば発毛が期待できる点が、円形脱毛症の特徴です。
円形脱毛症の直接的な原因は、免疫システムが自分自身の毛包を「異物」と誤認し、攻撃してしまうことにあると考えられています。
この自己免疫反応の引き金となる要因としては、以下のようなものが指摘されています。
「ストレスが原因ですか」というご質問は皮膚科の診察でも非常に多いのですが、ストレスのみで発症が説明できるわけではなく、
複数の要因が複雑に絡み合って発症すると理解しておくことが大切です。
円形脱毛症の症状は、脱毛の範囲や広がり方によっていくつかのタイプに分類されます。
日本皮膚科学会の診療ガイドラインでは、頭部の脱毛範囲に応じてS0〜S5、頭部以外の脱毛の有無に応じてB0〜B2という重症度分類が用いられており、
皮膚科ではこうした客観的な指標をもとに治療方針を検討します。
円形脱毛症は自然に治ることもある一方で、放置することで症状が悪化・慢性化するケースも少なくありません。
初期の単発型であっても、適切な治療を行わないまま経過すると、脱毛斑が拡大したり、
新たな脱毛斑が増えて多発型に移行したりするリスクがあります。
さらに進行すると、眉毛やまつ毛にまで脱毛が及び、全頭型・汎発型へと重症化する可能性も否定できません。
円形脱毛症は「様子を見ていれば自然に治る病気」と誤解されがちですが、早期に皮膚科専門医の診断を受けることで、
重症化を防ぎ、治療の選択肢を広げることができます。
気になる脱毛斑に気づいたら、できるだけ早めに皮膚科を受診することを強くおすすめします。
円形脱毛症の診療では、まず皮膚科専門医が頭皮の状態を視診・触診し、
必要に応じてダーモスコピー(拡大鏡による毛髪・頭皮の観察)を用いて脱毛斑の状態を詳しく確認します。
脱毛の範囲や進行の速さ、毛包の状態を評価し、前述の重症度分類(S・B分類)などを参考にしながら、
現在の症状に最も適した治療方針を検討します。
円形脱毛症以外の脱毛症(牽引性脱毛症や瀰漫性脱毛症など)との鑑別も重要であり、
自己判断せずに皮膚科専門医の診断を受けることが、適切な治療への第一歩となります。
紫外線療法(エキシマライトなど)は、脱毛部に特定の波長の紫外線を照射することで、
過剰な免疫反応を抑制し、発毛を促す治療法です。
痛みはほぼなく、比較的短時間で施術でき、体への負担が少ない治療法です。
効果の実感までに一定の照射回数・通院期間が必要ですが、
円形脱毛症の治療ガイドラインでも認められている保険適用の治療です。
SADBE療法は、脱毛斑にかぶれを人工的に誘発する薬剤を塗布し、免疫の働きを変化させることで発毛を促す治療法です。
多発型や難治性の円形脱毛症に対して選択されることが多く、一定の発毛効果が報告されています。
ステロイドなど他の治療で効果が得られにくかった症例にも有効な場合があり、比較的広範囲の脱毛にも対応できます。
ただ、かぶれによるかゆみや炎症などの副作用が生じることがあり、定期的な通院と根気強い継続が必要です。
DPCP療法は(Diphenylcyclopropenone)と呼ばれる化学物質を用い、SADBE療法と同じように治療を行います。
SADBEに比べ強いかぶれを起こしにくいものの治療効果は同程度とされており、
SADBE療法でかゆみなどの反応が見られなくなった方にも有効です。
オルミエント(一般名:バリシチニブ)は、JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬と呼ばれる内服薬で、
円形脱毛症の発症に関わる過剰な免疫反応を体の内側から抑えることで発毛を促す治療法です。
2022年に国内で円形脱毛症治療薬として承認され、
「脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合」に限り保険診療で使用できる点が大きな特徴です。
具体的には、投与開始時点で頭部全体のおおむね50%以上に脱毛がみられ、
過去6ヶ月程度自然な毛髪の再生が認められない、
重症・極めて重症の円形脱毛症が対象とされています。
外用療法や局所免疫療法では改善が難しかった重症・難治性の円形脱毛症に対しても
効果が期待できる内服薬であり、条件を満たせば保険診療で治療を受けられます。
リットフーロ(一般名:リトレシチニブトシル酸塩)は、
JAK3/TECファミリーキナーゼ阻害薬に分類される内服薬で、
オルミエントと同様に過剰な免疫反応を抑えることで発毛を目指す治療法です。
2023年に国内で承認され、こちらも「脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合」に限り
保険診療の対象となります。適応の考え方はオルミエントと共通しており、
投与開始時に頭部全体のおおむね50%以上の脱毛があり、
過去6ヶ月程度自然な毛髪の再生がみられない重症・難治性の円形脱毛症が対象です。
オルミエントと同じく重症・難治性の円形脱毛症に対して保険診療で使用できる内服薬であり、
12歳以上の小児にも適応がある点が特徴です(オルミエントは小児適応を有しません)。
オルミエントとリットフーロは、感染症や血栓症などのリスクについて
事前の検査や治療中の継続的なモニタリングが必要であり、
他の免疫抑制作用のある薬剤との併用制限もあるため、
皮膚科専門医による慎重な適応判断が欠かせません。
軽度の単発型であれば自然に軽快することもありますが、放置により拡大・慢性化するケースも少なくありません。
自己判断せず、皮膚科専門医の診断を受けたうえで経過を見ることが安心です。
症状の範囲や重症度によって個人差が大きく、数ヶ月で改善するケースもあれば、1年以上治療を継続するケースもあります。
治療開始前に、皮膚科専門医が今後の見通しについて丁寧にご説明します。
家族に円形脱毛症の方がいると発症リスクがやや高まるとされていますが、
遺伝的素因だけで発症が決まるわけではなく、免疫や環境要因も関与しています。
円形脱毛症は、早期に皮膚科を受診し適切な治療を開始することで、進行を抑え発毛を目指せる疾患です。
「様子を見よう」と判断を先延ばしにするほど、症状が広がり治療期間が長引く可能性もあります。
円形脱毛症の脱毛斑に気づいたら、一人で悩まず、まずは皮膚科専門医にご相談ください。
西宮市の櫻根皮フ科では、皮膚科専門医が一人ひとりの症状に合わせた円形脱毛症治療をご提案しています。